ベテランキャンパーのたどり着いたリチウムイオンバッテリー
高級感あふれるキャンピングカーに組み込まれた電源システム
明るいカラーの小物にナチュラルなグリーンが美しく映える。奥さんのコーディネートで飾り付けられたインテリアは、落ち着きのある空気感に包み込まれ、心地よい気分に満たされる。オーナー中田一次さんのキャンピングカーは、完成された快適性を感じるられる空間だ。
30年以上キャンピングカーに乗ってきて、つい最近、10台目となるキャンピングカーを手に入れた。以前は子どもたちと一緒に、山、川、海、といろいろな場所に出かけ、家族との時間を楽しんできたという。そして、今は仲間や夫婦との時間を過ごしている。
これまでの経験から、キャンピングカーに対する考え方が蓄積され、今の快適な環境が生まれたといっていいだろう。特に電源システムにはこだわりを持って、自分なりのセオリーが完成している。新しいキャンピングカーには、思い通りのシステムが組み込まれた。
ヨーロッパを代表する高級キャンパー
現在、所有しているキャンピングカーはニースマン「ビショフ」とアドリア「ツイン」。長期や夫婦の旅行にはビショフを、ひとりで出かけるときはツインを利用している。友達とは旅先で合うことが多く、コンパクトなツインで移動して、現場で合流することも多いとか。
ヨーロッパ屈指の最高級品質を誇るビショフは、1つ1つの家具の作りが高品質。ベッドルーム、リビングルーム、バスルーム、キッチン、すべてに最上級の素材が使われ、品のある作り。すべてのオーナーに最高の時間を提供してくれるキャンピングカーだ。
ボディサイズが大きいゆえに、運転に抵抗を感じる人もいるが、カメラを増設することで、視認性も高まるという。中田さんのクルマにも、リアサイドのカメラを増設したり、ドライバーズシートにたくさんのモニターが設置され、広い視認性を得ている。
また、ダッシュボードにボディ感覚をつかむための印がつけられており、道路を走行しているときに車幅を確認できるようになっている。これまでにも、大きなキャンピングカーに乗ってきたことがあるので、ベテランらしいテクニックが垣間見られる。
コンパクトで使いやすいアクティブキャンパー
ツインはコンパクトなサイズながら、ホテルライクなヨーロピアンデザインでまとめられ、こちらも落ち着きのあるキャンピングカーといっていいだろう。大きさはちがっても、ビショフと同じような電源システムが採用されている。
コンパクトなボディだが、リアのベッド下に室外機を設置して、家庭用エアコンを取り付けている。隔壁には住宅用の断熱防音材を組み込んだ。外部側面、下部に空気の流れを作り、音と熱を室内に入れないようにしている。ベッド下のスペースを全体的に拡張しなければならなかったが、自身でDIYしたというから驚きだ。
ツインはコンパクトボディなので、DIY個所が多く、スペースを有効に使わなければならなかった。実はリビングルームのテーブルも手作りで、こちらはインテリアの質感を高めるのに役立っている。ツインの使い方が限定されていることもあり、自分が必要とする、オンリーワンのレイアウトでDIYされているのも特徴といっていいだろう。
リチウムイオンバッテリー、インバーターなどはベッド下に設置。ボックスを自作して、外部からは見えないようにしている。本来のサブバッテリーシステム部分には鉛のバッテリーが組み込まれているので、どうしても新たなスペースを確保しなければならなかったのだ。バッテリーのコントローラーは、エントランス上部の集中パネルに装着されている。
リチウムイオンバッテリーのメリットを活かしたシステム構成
2台とも基本的な設計は電源を2系統にして、切り替えスイッチを使って、効率よく充電や放電(電源を使う)が行えるようになっている。2系統とは、リチウムイオンバッテリーと鉛のサブバッテリーが搭載された状態。どちらの電源でも運用ができるようになっているので、電源のバックアップシステムが整っているといってもいいだろう。
コンパクトで大容量のリチウムイオンバッテリーだからこそ、2系統のバッテリーシステムを1台のクルマに組み込むことができるのだ。さらに高出力の連続運用が可能なことから、家庭用のエアコン、電子レンジなどに適しているともいえる。
そんなリチウムイオンバッテリーの存在は気になっていたという。そこで、インターネットで知ったオンリースタイルに連絡をしてみると、親切に対応してくれたことがきっかけで、同社のリチウムイオンバッテリーでシステムを組むことになったという。
オンリースタイルと打ち合わせを繰り返し、自分の使い方を伝えると、担当者がシステムを理解してくれたので、安心して設備を組むことができた。
以前から2系統のバッテリーシステムを組んでいたので、そのシステムの一部をリチウムイオンバッテリーに交換することになった。詳細な回路図を作成して、打ち合わせを繰り返した。回路図を見ると、電源が2つあるだけではなく、充電器、インバーターもそれぞれに独立して取り付けられているのが分かる。
このシステムを使えば、それぞれの電源からインバーター、充電器を介して、別系統のバッテリーへの充電もできてしまう。2つのバッテリーは、基本的にバックアップとしての存在ではあるが、ソーラーの電源を効率よく使ったり、システム全体に負荷がかからないように、回路が枝分かれして、全体のシステムを完成させている。
さっそく、ビショフで長期の北海道旅行をしてきたが、5月の空ながら、発電機を使うことなく、十分な電源が確保できた。ストレスを感じることなく、電気を使った生活ができたことに、本人も驚いたそうだ。
オンリースタイルのリチウムイオンバッテリーシステム
システムのアイテム内容を見てみると、ビショフにはオンリースタイルの取扱商品から
- リチウムイオンバッテリー200Ah✕2
- バッテリー並列接続ケーブル
- SunPower 327Wソーラーパネル
- Sun Power 245Wソーラーパネル
- SunPower用延長ケーブル20m MC-4タイプ
- MPPT充電コントローラー60A
- バッテリーモニター&セーバー3000
が組み込まれた。
リチウムイオンバッテリーの残量表示と過放電を予防するバッテリーモニター&セーバー3000を装備。
許容電流が290Aあり3000Wクラスのインバーターも接続できる。
一方、ツインには
- SunPower327Wソーラーパネル
- リチウムイオンバッテリー200Ah LowVersion✕2
- マルチチャージャー(40A急速充電機)(MC‐580)✕2
- パワーインバーター1500✕2
- バッテリーモニター&セーバー1500✕2
を組み込んでいる。バッテリーは高さを抑えたLOWバージョンが採用されている。
それぞれに、上記とは別に鉛のサブバッテリーシステムを設置し、インバーターなどには別ブランドアイテムも入っているというが、基本的なシステムはオンリースタイルのアイテムで揃えられた。
ビショフのソーラーシステムはパネルとバッテリーの間に切り替えスイッチがついているので、リチウムイオンバッテリーに大容量の電気を送ったり、鉛バッテリーの併用充電も可能になっている。
もちろん、走行時の充電経路のリレー、電源利用時の切り替えなどで、低負荷、高効率な環境が保たれている。バックアップ体制も万全なので、電気に関してはストレスを感じることなく、キャンピングカーライフを送れることだろう。
ベテランキャンパーのたどり着いたリチウムイオンバッテリー
キャンピングカーに30年乗ってきて、長年の経験のなかでたくさんの失敗もあったという。その問題を解決しながら、ベストなシステムが完成に近づいてきた時、このリチウムイオンバッテリーという存在に出合った。
ベテランらしく、キャンピングカーで生活する際の限界を知っているという中田さん。電気の使用量など、全体の容量から、使える量などをイメージできていたが、これからはリチウムイオンバッテリーによる、新たなスタンダードを感覚としてつかむまで、もう少し時間がかかるかもしれない。
それほどまでにリチウムイオンバッテリー、ソーラーパネル、インバーター、コントローラーなどの性能が向上してきたのは言うまでもないことだろう。